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「谷崎潤一郎氏」 芥川 龍之介

谷崎氏はその日も黒背広に赤い襟飾りを結んでゐた。僕はこの壮大なる襟飾りに、象徴せられたるロマンティシズムを感じた。

短い文章の中に、「谷崎潤一郎の派手な襟飾り」 について表現を変えながら何度も書いている。というか、この作品自体ほとんどそれについて書いたようなものである。「壮大なる襟飾り」。やたら大袈裟な表現が笑いを誘う。

一輪の紅薔薇に似た、非凡なる襟飾り

谷崎氏の喉もとに燃えたロマンティシズムの烽火

「ロマンティシズムの烽火」である。これはほとんど「ネタにしている」と言っていいと感ずる。それでいて「壮大なる」「非凡なる」というのは壮大にして非凡なる作家である谷崎への尊敬のようにも感じられる。どちらともとれる絶妙さが憎い。

「ポーの片影」の感想でも書いたが、芥川龍之介という人はどうやら思ったよりユーモアのある人のようだ。

「谷崎潤一郎氏」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card4276.html

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